徒歩で訪ねる太陽系の旅

冥王星の縮尺後直径が間違っていたので修正しました。(2002/7/5)

(一般論としての注意はここを参照してください。)

2000年11月11日に行われた「東京大学大学院理学系研究科附属天文学 教育研究センター特別公開日(国立天文台と共催)」において、 「徒歩で訪ねる太陽系の旅」というイベントを行った。
これは、特別公開日来場者に対する、天文学入門講座として位置付けられた もので、天文センター講義室にて上演された。

科学技術館ユニバースにて定期上演している太陽系シミュレータを 用いたコンピュータ合成画像による紹介と併せて、 太陽系のスケールを(特に惑星サイズとの比較を)実感してもらおうと 実施したものである。 科学技術館ユニバースにおいても会場を利用して、同様の 話を行っているが、今回は、9惑星全てを対象とした。
講演時間終了後も展示はそのままとし、閉場時まで、自主的に 楽しんでもらえるよう、オリエンテーリング形式を採用している。

オリエンテーリング形式とするためには、場所の地図が必要である。 このため、講演会場内に以下の2枚の図を掲出した。

他の場所で行うための参考に、この縮尺での各惑星軌道半径(太陽からの 距離)を示す。
惑星名称実際の距離(億km)模型での距離(m)
水星0.5792.9
金星1.0825.4
地球1.4967.5
火星2.27911.4
木星7.78338.9
土星14.29471.5
天王星28.750143.8
海王星45.044225.2
冥王星59.152259.8
冥王星(遠日点)73.881369.4
冥王星(近日点)44.422222.1

感覚的に把握するのが目的なので、遠くの惑星は1m程度の誤差があってもよい。 また、本来は楕円軌道であるが、冥王星以外は気にしなくてよい。 冥王星だけは海王星と太陽からの距離が入れ替わるほど、離心率が大きいので 正円とするのは抵抗があるが、正確な楕円を記述する必要はなく、 遠日点と近日点が再現するように円の中心をずらすことで対応すればよい。

参考までに、この縮尺だと、地球-月の距離は1.9cm、月の直径は0.17mmである。

この展示が、従来の類似の展示と決定的に異なるのは、 惑星自体の大きさも同一縮尺で示すことにある。 これを行なわないと、惑星間の拡がりを地球の大きさと比較して 捕えることができなくなり、大きさや距離感の連続性が途切れてしまう。

そこで、上記のような地図に示された位置に、同一縮尺(実物の200億分の1)に 描いた惑星画像をB5サイズ程度のポスターとして掲出した。 この縮尺での惑星の大きさ(赤道での直径)は以下の通り
天体名実際の直径(km)模型での直径(mm)
太陽139200069.6
水星48800.24
金星121040.61
地球127560.64
火星67940.34
木星1429847.15
土星1205366.03
天王星511182.56
海王星495282.48
冥王星22740.11
図に描く場合や球体を特別に準備できる場合には、0.1mmの精度があれば充分。 惑星同士の大きさ比較は、重視していないので、 講演の途中で示すなど口答での捕捉説明が可能で市販の球体を利用する場合で あれば、小さい惑星なら2〜3倍、大きな天体なら1.5倍程度の誤差は あっても何とか許容できよう。 あくまでも、惑星間距離と惑星の大きさとの対比を感覚的につかんでもらうことが 目的だからである。

実際に、特別公開日には、 太陽は直径7cmの発泡スチロールの球を橙色に塗ったものを展示した。 上演時に、地球は(4倍ほどオーバースケールだが)直径2mmの ビーズ玉をヨウジの先に接着したものを用意し、 会場で、位置の予想をしてもらい、日常の認識とのギャップを感じてもらう よう努めた。

掲出したポスターは以下の通りである。

  1. 水星
  2. 金星
  3. 地球
  4. 火星
  5. 木星(惑星像はすばる望遠鏡ファーストライト画像から作成)
  6. 土星(惑星像はすばる望遠鏡ファーストライト画像から作成)
  7. 天王星
  8. 海王星
  9. 冥王星(直径の数値が誤っていたので修正)

国立天文台以外の場所で行う際の一般的注意

類似のイベントは、他の場所でも実現可能であり、 実際に行っている機関・施設も多数あるものと思われる。

これまでに私が各地のイベントで実演した実例としては 上記の天文センターおよび科学技術館ユニーバスでの他、以下の例がある。 いずれの場合も、上演場所関連の地図提供、スナップ写真撮影などで 現地の博物館のスタッフなどのご協力を頂いている。

*注1:会場の面積の関係から、やむを得ず1/300億で実施した。

上演・演出のポイント

以下では、上演した際のポイントをまとめてみた。 類似の上演・展示を企画する際には参考にして戴きたい。
  1. 縮尺の自由度はあまりない。ここでは、1/200億としたが、これは 地球の大きさが目に見えることと冥王星までが歩いていくつもりになる距離に 収まることとを両立しようとするとほぼ唯一の縮尺となる。
  2. 現地に目標を実際に設置すること。参加者に積極的に歩いて いってもらうには、そこに目標を設定することが必要である。 ここでは、オリエンテーリング仕立てとして、全てを巡ると文章が完成する というネタを仕込んだ。他にもスタンプラリー仕立てにするなどが考えられる。
  3. 町中などで、各惑星軌道の位置に適当なランドマーク(目印となる建物など)が 既にある場合は、そこの写真をスナップして本会場(講演会場)で示すのも、 そこまでの距離感を想像する際に効果的である。
  4. 彗星やカイパーベルト、小惑星なども適宜追加すると面白かろう。 月(地球からの距離1.9cmになる)を設置するのも一案である。
  5. 惑星が公転していることを考えると、目標位置を適宜変えるというのも よいかもしれない。毎月更新して、実際に現在の太陽系の惑星の位置まで再現 しているとすると(維持は大変だが)一層の興味を引くかも知れない。
  6. この縮尺だと、最も近い恒星(ケンタウルス座α星)までの距離は2000kmとなる。 これは、東京-北京の距離に当たる。設置場所から2000kmの位置に 該当する距離の都市名をあげておくと太陽系と恒星間宇宙との関連も 掴んでもらえるであろう。 東京中心だとこんな感じの図になる。 北京や香港や台北の風景写真などを添えても良いだろう。

文献

上記の活動は以下のメディアで出版・報告しています。
  1. T.Handa, 2002, "Universe Live-show", proceedings of "Global Hands-on Universe 2002", eds. by Anne-Laure Melchior, Rogure Ferlet, Frontier Group with support of ESA (http://www.esa.int/education/), ISBN 2914601107, p.221-227

類似の企画・上演を考えている場合は、相談に乗ります。お気軽にメールください。
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