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Research Topic NEOの観測意義

生命や水の起源に興味を持ち地球接近小惑星の観測的研究を行っています。 地球接近小惑星は地球の生命・水の起源として非常に有力な天体であり、小惑星の研究は間接的に それらに結びついていると考えられます。

また地球接近小惑星は地球やその上空を回る人工衛星に衝突することで甚大な被害を及ぼす可能性があり、スペースガードの観点からも発見の意義があります。 地震、台風など予測できない地球上の災害とは異なり、小惑星の衝突は 軌道さえ求めることができれば正確に予測でき、被害を軽減することができます。

そのために長野県木曽観測所105cmシュミット望遠鏡とそれに搭載されたTomo-e Gozenカメラを 用いた観測的研究を行っています。シュミットの20平方度もの広視野(満月約80個分!)と CMOSセンサーによる2Hz動画観測を組み合わせたサーベイ観測から得られる独特な観測データを用いた研究です。

full frame Tomo-e Gozen
全84センサーを搭載した焦点面のTomo-e Gozen

自分はこの観測データの中からの小惑星の発見とその特徴づけを研究テーマとしています。 独特な観測を行うTomo-e Gozenが発見する小惑星も同じように独特です。 Tomo-e Gozenは1.05mの中型望遠鏡であり、世の中の大型望遠鏡のように遠くは見えません。 そのため地球の近くの小惑星のみ発見が可能です。これらは地球に近いため見かけの速度が大きく、 読み出し時間の短い望遠鏡でなければ感度が低下してしまいます。 CMOSセンサーを用いたTomo-e Gozenは地球近傍の小惑星を発見する装置として世界トップクラスです。

105cm kiso schmidt telescope
口径105cm シュミット望遠鏡

新しく発見された小惑星は世界の小天体を取り仕切るMinor Planet Centerに申請することで 全世界に公開されます。 追観測により精度良く軌道を決めることで仮符号(小惑星の名前)を付与されますが、 Tomo-e Gozenを用いた観測ではこれまでに11の小惑星に仮符号が付与されています(2020-05-06現在)。 その小惑星たちの直径は平均~17mと小さく、これまで観測例が少ない希少な10m級小惑星です。
自分はこの天体に対する特徴づけとして自転周期、組成を取得し統計的に研究することを目指しています。

NEO サイズと自転周期の関係
小惑星のサイズと自転周期の関係

Research 微小NEO組成の推定

近日点距離が1.3 au未満で定義され地球に接近する軌道をもつ小惑星を 地球接近小惑星(Near Earth Objects, NEO)という。 NEOの多くは火星-木星間のメインベルトから軌道進化した天体であると考えられており、 地球接近時の明るい時期に観測することにより メインベルト小惑星では困難な直径1 m 級の微小な天体の特徴づけを行うことができるユニークな観測対象である。 一般に 小さく暗い微小NEOの自転周期、スペクトル型推定などの特徴づけには 大型装置や長時間露光観測が必要となる。 しかし微小NEOを多数観測した先行研究では長時間露光観測により 高速自転を見逃してしまう可能性が危惧されている。 また多色観測から小惑星のスペクトル型を推定するためには 自転位相ごとの明るさの変化を考慮しなければならない。 微小NEOが地球に接近し最も明るくなる時期に観測することで 上記問題は解決できるが、 典型的な観測好機は数時間から数日間と短く かつ天球上を数秒角/秒で高速移動するため、 その特徴づけには迅速な多色同時高速観測が必要となる。

参加した研究会・学会