恒星天体物理学

大質量星―主系列(O, B型星)
大質量星―後主系列(WR型星)
    大質量星―後主系列(YHG)
中小質量星―後主系列(M, S, C型巨星)





大質量星―主系列(O, B型星)

工事中




大質量星―後主系列(WR型星)

 25太陽質量よりも質量が大きい主系列星は、赤色超巨星(RSG)やYellow Hyper Giant(YHG)を経て、ウォルフ・ライエ星(Wolf-Rayet, WR)に進化し、最後には超新星爆発を起こすと考えられています。

 銀河の金属量や明るさに大質量星は大きな寄与をするため、大質量星の進化を確定することは、天文学上で重要なトピックとなっています。WR段階でどの程度質量放出をするかで、大質量星の進化経路は大きく変わります。観測的にWRの質量放出量を決定し、そのメカニズムを明らかにすることが本研究の目的です。

 WRを分光的に特徴づけるのは、次の三点です。

1) 黒体輻射とfree-free輻射による連続線 (図:準備中)
2) 輝線幅が広い(〜3000km/s) (図:準備中)
3) He,N,C等の非常に強い輝線 (図:準備中)

 1)は、中心星による黒体輻射成分と、質量放出領域からのfree-free輻射によるものだと考えられます。free-free輻射成分を連続線から分離して、質量放出量を見積もることができます。

 2)は恒星風の速度に由来します。この輝線幅、ないし輝線のp-Cygプロファイルから、WRの恒星風の終端速度を得ることができます。

 3)は、WRが強い恒星風によりほとんど水素外層を吹き飛ばしてしまい、ヘリウム中心核がむき出しになっていることに由来すると考えられます。WRは、中心核燃焼段階により、WN型(CNO cycleによる水素燃焼段階)、WC型(3α反応によるHe燃焼段階)、WO型(C燃焼段階)に分けられ、分光的には以下のようにして判別することができます。

  • WN:ヘリウム、窒素の強い輝線が見られる。水素輝線が見えるものもある。(図:準備中)
  • WC:ヘリウム、窒素に加え、炭素、酸素の輝線が顕著に見られる。(図:準備中)
  • WO:酸素輝線が強くなる。
 また、WN型星はさらにWNE(WN-Early)とWNL(WN-Late)に分けることができます。しかし、近赤外域においては、窒素輝線はほとんど見ることができません。輝線強度が弱いか、他の輝線とブレンドしてしまい、埋もれてしまっているのだと考えられます。


 NICE projectでは、大質量星の質量放出メカニズムを明らかにする目的で、22WR(4WNL, 12WNE, 6WC)の0.9〜2.4μmの近赤外分光データを取得しました。これまでの解析から、WRのサブクラスが近赤外域のHeII/HeI輝線比と相関があること、近赤外域の連続線成分からfree-free輻射成分を分離できること、free-free輻射成分と輝線量に相関が見られないこと(本当に?)、などが明らかとなっています。現在は、NICE分光データから得られる恒星の各物理量から、WRの質量放出量を見積もる作業を現在行っています。




大質量星―後主系列(YHG)

〜 yellow hypergiantとは 〜
 yellow hypergiantとは1990年頃から、次のような観測上の特徴で分類されてきた天体です。
  • Eddington Limitに近いLuminosity
       5.3 < log(L/Lo) < 5.9

  • 4000〜8000Kの色温度の間を変動している
       3.6 < log(Teff) < 3.9

  • 輝線
    1)Hα, CO, Na, N などの輝線が観測されている。
    2)輝線のprofileに変化が見られる。
    3)強い赤外excessが見られる天体がある。


 これらの観測事例と理論的なアプローチを総じて、次のことが言われています。
  • Na-richの傾向は、高温の核反応NeNa-cycleを経ている、即ちpost red-supergiantであることに起因する。

  • 大質量星の進化モデルによると、天体がpost red-supergiantへ進化し、その後に8000K付近の"yellow"まで高温となるには、ZAMS時の質量が10〜60Moである必要がある。

  • 大質量星の進化モデルによると、post red-supergiant天体が再度高温へ進化しているとき、外層が不安定となり脈動する。この間のmass lossにより軽量になるまでは8000Kより高温には進化できない。この安定に高温で存在できないHR図上の領域をyellow voidと呼ぶ。観測においてyellow voidの領域にはyellow hypergiant と分類される天体は存在しない。Teffの変化、輝線profileの変化は、この脈動に伴う変化と考えられている。

  • yellow hypergiant はyellow voidより低温の脈動している状態にしばらく留まるが、その期間は主系列滞在時間と比べて非常に短いため、観測されるyellow hypergiantは少ない。
    ←事実、これまでのところ、全天で12個、北天で3個(IRC+10420,ρCas, HR8752)しか見つかっていません。


 HR-diagram上では下図に位置します。



〜 NICEによるyellow hypergiant観測 〜
 yellow hypergiantの観測は従来はほとんど可視光線による測光・分光で行われてきました。 可視光線以外の波長域、例えば近赤外線における分光観測は、低分散分光の数例の報告があるのみとなっています。

 NICEによる中間分解能近赤外線分光を用いると、原子・分子の輝線・吸収線、星からの黒体輻射、放出されたダストからの黒体輻射を、星間吸収の影響の少ないスペクトルとして得ることができます。

 この利点を生かして、2002年11月から2004年2月の間、北天から観測可能な3天体の観測を継続して行ってきました。この観測により、これら3天体の温度、extinction、輝線の特徴、さらにmass lossの様子を捉えることができた。現在これらの結果についての解析をさらに進めています。




中小質量星―後主系列(M, S, C型巨星)

 中小質量星が主系列を離れると赤色巨星(RG)に進化します。その後、ヘリウム核融合が始まるとAGB(Asymptotic Giant Branch)に進化しますが、その際に核反応の生成物が表面に出てきます。その結果、C/ O比が通常の値(<1)から変化し、1より大きくなります。

 現在のところ、M型(C/ O<1)が、S型(C/O〜1)からC型(C/O>1) へと進化すると考えられていますが、その詳細は明らかではありません。Cを含んだ分子のスペクトル線としては、CO, C2, CNなどがありますが、すべて近赤外域に強いスペクトル線が存在していて、これらの天体を研究するには良い波長帯です。

 これまで0.9-2.4ミクロンのスペクトルをM型、S型、C型それぞれ様々なサブクラスにわたってデータを取得しました。






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