KWFCカメラ開発の近況 (2011年1月)
木曽観測所では、シュミット望遠鏡の広視野特性を活かすKWFC(Kiso Wide Field Camera)の開発を進めています。現在観測に用いられている観測装置は 2KCCDカメラですが、開発中のカメラでは8枚の2K×4K画素CCDを用いて、「2°×2°」という現在の約6倍の視野で観測することを目指しています。異なる種類のCCD(現在のKWFCではMITとSITe)を同時に使用するためのCCD読出しシステムも独自に製作し、順調に開発を進めてきました。
そして、2010年10月には、8枚のCCDを配置した状態でファーストライト観測を行うことができました(
こちらにある速報のページをご参照ください)。ただし、一部のCCDに不具合があったため、画像の一部では天体の光をとらえることができていませんでした。
その後改修を進めた結果、8枚の2K×4K-CCDの全視野分が動作するようになり、2010年12月の試験観測で8K×8K全体で天体の光をとらえることに成功しました。以下に紹介する「ばら星雲」のように、視野中心を細かく移動させてCCD間のギャップを覆うようなデータ(3回程度以上の露出)を組み合わせることで、目標としていた2°×2°の領域を隙間なく観測することができます。現在、ノイズの軽減や安定した動作などを実現するために、改良を行っているところです。また、性能の評価や解析ソフトの整備等も進めています。なお、これまでの成果と試験観測の成功について、中日新聞(2010年12月30日、社会面)で報道されました(
写真)。
共同利用観測装置としての公開は2012年4月ごろになる予定ですが、それに先立ってリスクシェアで暫定的に使用していただける可能性もあります。木曽観測所では、平成23年度の共同研究課題を公募しておりますが(締切:2011年1月20日)、KWFCのご利用を早期に希望される方は
こちらのページを参考に別途ご連絡ください。
2011年1月7日
木曽観測所のホームページへ
木曽観測所「研究・開発」のページへ
「ばら星雲」の合成画像
ばら星雲
フィルター: BVR
視野: 2°×2°
ばら星雲
上の画像にKWFCと2KCCDの視野を
比較する枠を描いたもの
ばら星雲
フィルター: R
中日新聞報道記事
中日新聞 2010年12月30日(社会面)
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